自社テストと第三者検証の違い
2025年01月08日 11:31
ソフトウェア開発におけるテストは品質保証の要です。自社内で行うテストと、外部の第三者検証会社に委託するテストには、それぞれメリットとデメリットが存在します。ここでは、両者の違いを多角的に比較し、最適なテスト戦略を選択するための指針を提供します。
①視点とバイアス
自社テスト
開発者自身のバイアス(先入観、偏見)が入りやすく、コードに精通しているからこそ、潜在的な問題点を見逃してしまうことがあります。また、納期やリリーススケ ジュールのプレッシャーがかかると、テストプロセスが軽視されることがあり、最悪の場合、品質不正問題に繋がるリスクを抱えます。
第三者検証
独立した立場の第三者検証会社は、客観的な視点でテス トを実施し、開発者のバイアスを排除できます。また、プレッシャーのかかる状況でも、厳格かつ標準化された手法で一貫した品質評価が行われます。
②手法の標準化
自社テスト
自社開発の場合、各チームやプロジェクト、エンジニアごとに異なるテスト方法や観点が採用されることがあり、標準化が不十分であることが多いです。結果として、テストの網羅性や精度にばらつきが生じる可能性が高いです。
第三者検証
第三者検証会社はJSTQBやIVECといった標準規格に基づいてテストを実施するため、体系化されたアプローチで品質を高い水準で維持できます。また、実務経験のノウ ハウや最新技術などを取り入れることで、より付加価値の高い品質保証が実現されます。
③テストの範囲
自社テスト
自社ではリソースが限られているため、機能テストに重点が置かれ、パフォーマンスやセキュリティ、互換性といった非機能的なテストが疎かになりがちです。また、リソースを開発者と共有するため、十分なテストが実施できないこともあります。
第三者検証
機能テストに加えて、非機能テスト(パフォーマンス、 セキュリティ、互換性、耐障害性など)も網羅的に実施します。QAリソースを専用に割り当てることで、幅広いテスト範囲をカバーし、製品全体の品質向上を図ることができます。
④ツールと技術・リソースと専門性
自社テスト
使用するツールや技術が限られていることが多く、高度なテスト自動化や手動テストにも十分なリソースや知識が不足していることが多いです。また、リソースが開発者と共有されるケースも多く、テストに対する十分な時間やエネルギーを割くことが難しい場合もあります。プロジェクト後半になるとテストにかけるリソースが削られがちです。
第三者検証
Selenium、Playwright、Appiumなどの高度なテストツールを使用し、効率的なテスト自動化を実施します。これにより、開発者が時間を割くことなく、精度の高いテストが実現されます。経験豊富なテストリソースを確保し、専任のテストチームがテスト作業を担当するため、 開発者は開発に専念できます。これにより、プロジェクト全体の品質と開発効率が向上します。
⑤客観的なフィードバック
自社テスト
社内でのフィードバックは、プロジェクトの進捗や社内の関係性に左右されることがあり、納期や予算の制約が強くなると、品質に関する正直なフィードバックが困難になることがあります。また社内エンジニアのスキルに左右されるケースも多く、潜在的な不具合が見落とされがちです。
第三者検証
第三者検証のエンジニアから提供されるフィードバック は、客観的かつ正確であり、開発チームが見落としがちなポイントを明確に指摘します。第三者検証のエンジニアは専門的なテスト技術と実務経験を有しており、これにより、バイアスのない改善が可能となり、品質向上につながります。
⑥まとめ
自社テストと第三者検証は、それぞれ異なる特性を持つため、プロ ジェクトの性質や状況に応じて最適な方法を選択することが重要です。自社テストは迅速かつ柔軟に対応できる一方、バイアスやリソース、スキルの制約に注意が必要です。第三者検証は客観性と専門性を提供しますが、コストとナレッジの蓄積が必要となります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、バランスの取れたテスト戦略を立てることで、高品質なソフトウェア開発を実現できます。